離婚BLOG

tel_sp.png

2021.03.29更新

離婚した相手が再婚し、再婚相手と子供が養子縁組をした場合、元の夫は、定められた養育費の支払い義務を免れるか、という問題がありました。

従来の高裁決定では、実親の扶養義務は消滅しない等とされたり(福岡高裁平成29年(ラ)第136号養育費減額審判に対する抗告事件決定)、消滅するという判断がされたり、各裁判所で判断が別れていました。

平成30年、最高裁判所は、養子縁組という事情変更により、定められた養育費の支払い義務は免除されるとの判断を示しました(最高裁第1小法廷平成30年(許)第4号養育費減額請求認容審判に対する即時抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。

その後、東京家裁平成元年(家)第3672号等子の監護に関する処分(養育費減額)平成2年3月6日審判では、養育費のみならず学費等特別費用も免除される旨の判断がなされました。

なお、養子縁組のない、再婚のみでは、再婚相手の収入が、相手の収入増として、金額の見直しが為されるにとどまるものと思慮されます。

 

投稿者: 武末法律事務所

2019.06.10更新

親権や監護権に基づく子の引渡しを実効するための強制執行について、かっては、手続法が存在しないとか性質上なじまないとかの理由で、間接強制のみが認められ、直接強制は認めない傾向にありました。

近年は、民事執行法169条(動産執行)の類推適用により、直接執行を認める傾向に変わり、さらに国会において法律制定が検討されています。

そうした流れの中で、最高裁判所第3小法廷は、平成30年(許)第13号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同31年4月26日決定において、子が激しく抵抗して執行を妨げた事案で、直接強制のみならず間接強制も、権利濫用として認めないという決定を出しました。法律専門家によっては、例外的判決(決定)であると評するものもあります。子供の年齢が9歳であるのも、従来の基準(12歳くらい=中学生年齢)に比べ年少化したと評するものもあります。

しかし、最近の子供は、小学校高学年においては、既にしっかりとした考えや判断力を有しており、子供であると侮ることは正しくないと思います。従って、最近の先例は10歳という基準を用いるケースも増えていました。しかし、小学校低学年においても、子供によってはしっかりとした判断力を有している子もいます。また、合理的判断によるものではなくても、親密な親子の絆に基づく心情をも含めて、当職は、子供の意思を尊重すべきであると考えています。

この考え方を前提とすると、子の引渡は、親同士の関係ではなく、親と子の関係であると見るのが、本質的であるとの考えに至ります。従って、子が嫌がっているのに、親に対して強制執行をすることは、何の効果もないばかりか、子が執行を受ける親に気配りを強制されることになるので、まったく子の福祉に反する強制行動であるというべきことになります。言葉を変えると、監護親の義務は、相手の親に引き渡す義務ではなくて、引き渡しを妨げない義務に止まり、強制執行になじまないものというべきです。

従って、当職は、掲示の最高裁判所決定は、例外的な判決ではなく、本来あるべき、原則的な価値観を表したものと、理解しています。

投稿者: 武末法律事務所

2019.05.23更新

婚姻費用

夫婦の間には、相互に扶助義務があります。その形は、経済的扶助や生活補助的扶助など様々な要素があります。

 
仮に、夫婦が別居した場合、収入の多い方が少ない方に経済的扶助をする義務が生じます。子供を引き取った側にはその負担も考慮され、他方側においては生活補助的扶助が履行されない分減額されることになりますが、これらの紛争を速やかに解決するために、過去の統計をもとにした、子供の数と夫婦の経済的収入のみを基準とした算定基準によって、決められるようになっています。よほどの特別の事情が認められない限り、これを外れて決定されることはありません。なお、権利者が不貞行為による有責配偶者である場合、配偶者の生活費相当分は除外され子供の養育費部分に限定されるという判例が出て以来、これに従う例が増えています。

婚姻が終了すれば義務は生じません。養育費に変わります。

支払い義務の発生時期は、実務上、申立後というのが、多くの取り扱いですが(現在の福岡家庭裁判所の取り扱い、例外として、内容証明郵便で請求したことを証明したときはその時から、但しメールによる請求は認めていません)、大審院判例(大判明34.10.3・同37.7.18・同昭13.6.30)は請求時まで遡ってできるとされていたものであり、最高裁判所も、家庭裁判所が婚姻費用の分担額を決定するに当たり、過去に遡って、その額を形成決定することが許されない理由はない、としたものもあります(最高裁判所大法廷昭和37年(ク)第243号事件昭昭和40年6月30日判決)。
その支払い義務発生の具体的時期については、要扶養時から認められるという学説もありますが、実務上は、家裁の審判でも、要扶養時以後、請求時以後そして調停審判申立以後しか認めないもの等に分かれていました。
時効について、扶養債権を、定期給付債権として、請求可能な時から時効にかかるという考えもあり、5年以内という限定も考えられます(援用を条件とする)。

養育費

夫婦が離婚し、子供がいる場合に、子供を引き取った方に相手方が支払う義務を負うものですが、子供の権利であって、親の権利ではないので、親どうしで権利放棄しても、効力が認められません。
この金額の算出も、婚姻費用と同じような算定基準によって決められます。婚姻費用における夫婦間の扶助義務を免れる分、比較的安くなります。

状況の変化により、その増減を、家庭裁判所に申し立てることが出来ます。ただ、1、2年のような短いスパンでは、よほどのことがない限り、認められることが無いようですし、合理的理由がないのに、収入減の職場に変わった場合などは、この減額分を評価しないという先例もあります。

支払い義務の発生時期は、別居後からというのが、最高裁判所の判例です(最高裁判所第1小法廷平成7年(オ)第1933号離婚等請求事件平成9年4月10日判決)。これについても、時効の問題が議論されるところです。注意すべきは、判決や調停調書で決められていれば、消滅時効は10年ですが、協議書や公正証書で定めた場合ほ、消滅時効は5年です。

面会交流

夫婦が離婚し、子供の親権者が決められても、相手方には、子供と面会する権利があります。親の権利というより、子の福祉の為です。従って、DV歴等の子供の福祉に反するような状況があれば、認められないこともあります。また、子供が一定の年齢以上の場合、その意思が尊重されます。

裁判所で具体的な条件を定めた面会交流権が認められた場合、合理的な理由がなく、これを拒否した場合、間接強制により、その権利が確保されます。但し、条件が具体的に定められていない場合には、間接強制も認められません(最高裁判所第1小法廷平成25年(許)第48号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件平成25年3月28日決定)。しかし、最近は直接強制を認める例も増えており、直接強制の手続きを定める法改正の動きもあります。もっとも、各強制は夫婦(ないし夫婦であったもの)の間の問題であり、一定の年齢以上の子供の場合には、親の意思や行動に関わらず、子供の意思が最優先されるので、親に対する強制の問題は起きません(最高裁判所第3小法廷平成30年(許)第13号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同31年4月26日決定)。

以上オフィシャルHPから引用

投稿者: 武末法律事務所

2019.05.10更新

2018.12.04に、面会交流や子の引渡審判に基づく強制と子の意思と題して、裁判所の傾向をご紹介いたしましたが、適用例の一つと認められる最高裁判所決定が出されました。

最高裁判所第3小法廷平成30年(許)第13号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同31年4月26日決定は、妻の申立による家裁の引渡命令により家裁執行官が夫宅に出向いたが(直接強制)、9歳の長男は激しくこれに抵抗し引渡ができなかったため、妻が夫に制裁金(間接強制)を求めていた事案で、原決定を破棄し原々決定を取消して、同申立を却下しました。

最高裁判所第1小法廷平成24年(許)第48号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同25年3月28日決定は、給付の特定に欠けることがない場合、子供が拒絶する意思を示しても、審判がある以上、これの間接強制を妨げる理由にはならないとしています。その理由として、子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえたうえでされていることを掲げています。すなわち調査官調査等によって試行面会や子の身上調査が為されて子の福祉の判断がなされていることの結果である点を重視して、当面の子の意思を真意なものとはとらえられないと判断しています。

今回の最高裁判所決定は、東京家庭裁判所平成23年(ラ)第152号間接強制決定に対する執行抗告事件同23年3月23日決定が、子が債務者の説得にもかかわらず権利者の元に行く事を拒んだ事案で、義務者の義務は、権利者による子の引き渡しを妨害しないという不作為義務であるところ、義務者が子の引き渡しを妨害しているとも、その恐れがあるとも言えないとした、発想と同趣旨と認められます。

すなわち、小学校高学年程度の相当の年齢に達した子と親の引渡や面会は、引渡を求める親と子の関係であって、親同士の関係ではないので、子が引き渡しを拒んでいるのは、引き渡しを求められる親の意向によるものではないので、この親を間接強制によって心理的に圧迫することは、逆に子の福祉を損なうという発想です。経験上、妥当な発想だと思います。

結果として、過去の調査官による調査報告やこれに基づく裁判官による審判よりも、直近の家裁執行官の事実判断報告が、重要な機能役割を果たすことになります。従って、家裁執行官にはしっかりとした事実観察や判断能力が求められることになります。

 

投稿者: 武末法律事務所

2019.05.07更新

離婚に伴う親権の分離

夫婦である間は、共同親権者として、双方に帰属しますが、離婚するにあたり、いずれかが子供を監護することになり、子の監護権と親権は同一の親が持たないと不便なことが多いので、片方の親に飲み帰属することになります。

最近は、子供の親権を、双方の親が切望します。昔に比べて男性の要求が強くなりました。
 
親権決定
 
基準は、子の福祉です。親の都合ではありません。

子供が小さいうちは、よほどの問題がない限り、母親と認められます。仮に離婚原因が母親の不貞行為であっても同じです。要は子供にとって幸せかどうかという基準です。例外的なケースとして、母親が子供にDVを行っていた場合、薬物常習者であった場合、強度の精神病で入退院を繰り返していた場合がありました。この基準は、面会交流の可否においても基準となります。

両親が既に別居している場合には、よほどの問題がない限る、現実に同居している親に認められます。但し、別居時に、父親が一方的に子供を連れて行った場合には、母親が速やかに、子の監護者の指定、引き渡しの調停申し立てを起こせば、概ね審判で子供を戻すように決めてもらうことができます。最近、母親が留守の間に、父親が子供を連れて引っ越したという、二つのケースがありましたが、一つは子供が自ら母親のもとへ逃げ帰った小学生のケース、一つは子供の意思が確認されて戻らなかった中学生のケースがあります。この場合、昔は、人身保護法に基づく手続きが取られることが多かったようですが、監護者の調停指定引渡審判の方法が容易で速やかに進められます。但し、仮の処分申立によっては、認められません。
  
小学生高学年以上は、子供の意思が尊重されますが、客観的な意思を確認する為に、調査官の調査手が行われることが多くあります。

子供が、複数いるときは、合意であれば別々に親権を定めることができますが、子供にとって望ましいことではないので、審判や判決では、親権を分けることはまず認められることはありません。

母親が親権者となった場合、当然には子供は母親の戸籍には入りません。子の戸籍を変え氏を母親と同じにするためには、子の氏を変更する申し立てを家庭裁判所にしなければなりません。この手続きは容易に認められます。

投稿者: 武末法律事務所

2019.03.22更新

離婚に伴う財産分与の本質
財産分与の対象は、本来的には①夫婦で築き上げた財産の清算(民法第768条)としての要素が大きなものです。その場合、一切の事情を考慮してとありますから(民法第768条)②過去の婚姻費用の清算③経済的的弱者への扶助④慰謝料の清算等をも総合的に考慮されることになります。
離婚原因とは関係なく計算されるものですが、上掲の③や④の補充として使われることがあります。共働きでも専業主婦でも夫と妻は対等の割合とするのが、近時の傾向です。財産分与の具体的な方法は、裁判所に大きな裁量権が認められており、現物分割、代償分割、換価分割など、合理的と認められる方法が取られます。不動産について所有権を夫が取得し、妻が使用権を取得する等の例も見受けられます。
離婚後2年以内という除斥期間が定められています。

財産分与の対象の範囲
夫婦で築き上げた財産ですから、原則的に、婚姻後、離婚(別居)までに得た財産となります。従って、婚姻前に取得した財産や別居後に取得した財産そして婚姻中でも相続により取得した財産等は対象となりません。婚姻期間中でも、事実上破綻しその結果別居に至った場合等は、夫婦で築き上げる関係が無くなるので、原則として別居時点に存在した財産というのが多くの判例の説示です。特に、消費し易い金員関係において強調されています。従って、別居後に、片方で消費された財産や、片方で得られた財産は原則として、財産分与の対象とはなり得ません。
例外としては、全体観察をして、特に寄与関係が見受けられる場合等が考えられます(後掲の先例)。別居は、破綻の結果と客観的に評価され易いものです。但し、不動産や株式等個人の意思にかかわらず時価が変動するような財産は、離婚時の時価を基準とされています。

古い最高裁判所の判例に、財産分与の対象となる財産は、口頭弁論終結時を基準にするとされているものがありますが、前提として、夫婦の協力によって得た額その他一切の事情を考慮すべしとされ、その一切の事情の中には訴訟終結時の財産状態も含むとされています。
同事案においては、女性が苦労して家事や夫の商売の基礎的時代を支えた経緯を経て、その後夫が妻に暴言をはいたり卑下したりするようになり、妻が居たたまれなくなって別居し、その後数年後に夫の商売が軌道に乗り多くの資産を生み出した状態で離婚訴訟に至ったというもので、別居に至った事情や、同商売の拡張には、妻の功績を見逃せないという事情を理由としたもので、特殊な事例判決と認められます。従って、一般的な解釈の先例には用いられません。なお、前掲の通り、別居は破綻の原因ではなく、破綻の結果というのが、通常の理解です。離婚原因の稿で取り上げます。

債務等負の財産は、他に分与対象財産がある場合には、優先的に考慮(充当)されますが、負の財産のみの場合には、分与の対象とはなりません。また、家計に貢献しない固有の負債と認められる場合には、他の対象財産の分与の計算にも加えることは出来ません。
不動産のローンについては、不動産を取得する側の負担とされます。長期的に見ると同不動産を取得するに寄与するものが同不動産を取得するという理解でよいと思います。また、不動産をいずれも取得せず売却する場合には、ローン債務超過であった場合には、他に資産があれば、まずこの超過債務に充当という意味で、負債の分担ということが行なわれますが、他に全く資産が無い場合には、残債務を分担させるということは行なわれません。債務名義者(多くは夫)の負担として残され、相手方(多くは妻)に負担させることは為されていません。
しかし、ギャンブル等で通常の娯楽の域を脱した範囲の借金等の、夫婦共同生活の為の借金とは認められないものは共有負債にはなり得ません。保証関係にあるものは、別制度の取扱いです。

会社や法人の財産
会社や法人の財産は、例え経営者であっても、夫婦共有財産とはなり得ません。しかし、その株式や持分等は、夫婦共有財産となり得ます。婚姻期間中の始業か否か、経営における寄与度などの評価が争点になります。上掲の古い最高裁判所の先例も、広い意味で、その一つのケース(事例)と認められます。

退職金
給与の後払いと解釈されていますから、婚姻期間に対応する部分は、当然に共有財産と理解されます。但し、従来の判例における具体的な取扱いはまちまちで、概して見ると、退職間近な場合には、退職時に支払うこととされ、退職まで時があるときには、交通事故の逸失利益の計算と同様の金利差し引き計算をして離婚時に支払うこととされる例が見受けられましたが、最近は、離婚時点で任意退職したらいくらか(という証明をとって)、その金額を離婚時に支払うこととする例が多いようです。税金額を差し引くのが合理的公平です。

年金分割

別制度の取扱いです。就業期間と婚姻期間の按分額の2分の1というのが一般です。

不合理に高額の財産分与

不合理に高額の財産分与がなされた場合には、分与側の債権者に対する詐害行為として、一部取り消しとされる場合があります。かって、破産者が破産申立以前に離婚の形をとって、妻に財産分与名目で財産を渡し、これが否認の対象とされた事案が見受けられました。

以上オフィシャルホームページから引用

投稿者: 武末法律事務所

2019.03.05更新

相場。 過去に取り扱った事例をもとに、説明します。

特に定まった基準などは有りません。過去の判決例を見ると、一般的には金300万円を上限として、情状により低減されているように見えます。

バブルの頃は、世間相場に対応して上限金500万円が相当とか言われたこともありますが、現在はまた元に戻ったように見えます。

しかし、事情によっては、慰謝料という性質上、より高額が認められることもあります。離婚原因だけでなく、双方の経済力が影響することが多いようです。
特に、片方のみに離婚原因の責任がなく、かつ見るべき共有資産もない場合には、収入源のある方(主に夫)から収入源のない方(主に妻)に一定額(金300万円程度)の給付をさせる場合があります(扶養的財産分与)。一般的に、夫は従来の仕事の継続により将来の収入が見込めますが、特に専業主婦であった女性、特に高齢であった場合等は将来の収入の見込みが立たないからです。

離婚の慰謝料は、不貞の慰謝料等とは別ですので、不貞の慰謝料を得ても、その後、離婚に至れば別に請求することが出来ます。但し不貞の相手方に対しては3年を経過すれば、原則できないという最高裁判決が、最近出ました。

有責配偶者の場合。
非有責配偶者が、有責配偶者を相手に、離婚を求める場合には、上記の基準と変わりは有りません。 

しかし、有責配偶者が、離婚を求める場合に、相手方が拒絶した場合には、無条件には離婚が認められません。例外的に、相応の給付を提供することで認められた例も有りますが、これは、有責性の度合いが薄く、子供たちも独立していてその養護に不安がなく、かつ相手方が不安なく十分に将来生活出来る程度の給付が提供された場合です。

最高裁判所が、有責配偶者でも、一定の要件を満たせば、離婚を認めるという判断を下して以来、有責配偶者からの離婚請求はそれまでのように絶対不可能とは言えなくなりました。儒教思想から解放されて人間性を重視する破綻主義を重んじるようになったからだと思慮されます。
しかし、一定の要件、すなわちより人間的な実質的な思想に従う要件として、子供の福祉、相手の将来の生活、一定の期間などが掲げられています。なかには一定の期間が過ぎれば離婚可能などと誤解している専門家もいますが、その場合にも相当の給付の提供が条件とされます。
また一定期間もその具体的な状況により長短があり、5年でも可という場合もあれば20年でも不可という場合も認められます。福岡高裁の場合、基準的な別居期間7年、子供が高校卒業するまで、相応の生活保障等の基準があるということです。

実績。 取扱った高額な事案(いずれも比較的古い事案ですが、当職は、特に離婚事件については全国から依頼を受けますので事案特定の対象地は特定の地方を指すものではありません)。
夫と妻共々地方都市の複数の病院を配下に置く医療法人の株主たる医師で、夫が看護婦さんとの間で子供を作り同居した事案で、離婚及び財産給付を協議により解決した事件で、慰謝料8000万円と財産分与等1億4千万円の現金合計金2億2千万円で協議和解した事案があります。
夫が地方都市の病院の2代目医師で、看護婦さんを自宅に入れて子供も作った有責配偶者である夫から離婚を求めた事案で、子ども二人を育て上げた専業主婦である妻からの依頼の事件で、居住していたマンションと現金給付合わせて約1億円で調停和解した事案があります。
夫が地方都市の企業の経営者で、それまで一人娘を大事にしていたが、外(ホステスさん)との間で男の子を不妊治療法で得た有責配偶者である夫から離婚を求めた事案で、自分も仕事を持っていた妻からの依頼の事件で、居住していた自宅と現金給付合わせて約1億円で調停和解した事案があります。
夫が地方都市の一般的サラリーマンで、独身の女性と同居した事案で、3人の子供を養育中の遠方の地方都市に居住し、離婚を拒絶しながら婚費を求めている妻を相手に、有責配偶者である夫からの依頼の事件で、相当期間(定年まで)の分割による約金3000万円で調停和解した事案があります。
夫婦共地方都市の教員で、夫が他の女性教員と同居した事案で、子育てを終わったが離婚を拒絶している教員の女性相手に、有責配偶者である夫からの依頼の事件で、退職金全額相当の約金3000万円で(他の女性の退職金は無傷)調停和解した事例があります。
夫が地方都市の自営業創設者で、長期別居の間に会社の女性と交際をなしたうえ離婚を求められた、3人の子供を養育中の妻からの依頼で、現金4000万円と10年間自宅無償使用、子供一人の大学卒業までの養育費各子月17万円等の条件で、協議離婚した事案があります。
夫が勤務医師(親は開業医)で、単身赴任先の薬剤師と同居して、離婚を求めた事案で、妻からの依頼により、分割払いによる金3000万円で調停和解した事案があります(子供なし)。

当職の基本方針。
まず、いずれの立場にたっても、相手方の立場、心情を理解して、交渉に入ります。特に、女心が分からない、真面目すぎる、片方の利益しか考えられない専門家は事をこじらすことが多くなります。
次に、人生観として、前向きに処理することを第一に考えます。そのうえで経済的補償を考慮します。端的に言えば、相手が有責者である場合に、手に職があり将来に選択肢が多い依頼者の場合には、経済的給付の条件にとらわれずに早急な離婚を勧めます。しかし、手に職がなく、子供の教育や将来の生活に不安を感じたり、特に将来を急がない場合などは、相手の経済力に沿った最大限ないし納得出来る相応の財産給付を得るように勧めます。
この段階で、相手方と条件交渉に入りますが、その前に離婚を諦めて婚姻費用を支払い続ける相手方や依頼者もいます。また、当方が有責配偶者である場合には、可能な限り最大限の財産給付を検討して相手に提案することを勧めます。
いずれの立場であっても、当職が相手の立場に立って提案し、相手が冷静に考えれば、相手もいわば最悪な現状から抜け出して、相応の資金を元に再出発することが人生として有意義であるという共通の認識を持つことが出来るからです。


番外編・愛人のケース
30年ほど前のバブルの頃、ある遊戯場会社の社長の愛人を7カ月して、相手と別れたいから、慰謝料を取りたいとの依頼を受けました。彼女は自称元モデル、スチュワーデスで、美貌を保つために相当投資をしているとのことで、彼氏からの一か月の手当は金50万円、別れる原因は、当初子供も欲しい養育も負担すると約束していたのに、妊娠したとたんに降ろせと言われたこと、ということでした。
通常、愛人関係の清算に金員の要求は出来ません(支払った金員の返還請求も出来ません)。しかし、諸事情が存在し、最終的に、金6,000万円の慰謝料で和解が成立しました。

以上オフィシャルHPから引用

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.26更新

監護者の指定や面会交流等の子に関する調停における、両親の争いにおいて、裁判所は、調査官調査を行い、判断の資料に使うことが通常です。

最近の調査官は、教育も受けていて優秀なので、概ね、その調査結果に信頼が持てるといえ、その結果、審判や決定は、調査官調査の結果を重視した内容で為されることが多いものです。

ただ、たまに、客観性を欠いたり、片方の主張に影響を受けたかのような、また先例の勉強不足や社会経験則に欠けると思慮される案件に出会うことも否定できません。

当職も、過去に、数件、おかしいなと思われる調査報告書に出会ったことがあり、これを鵜呑みにした審判に対しては、即時抗告で、是正してもらったことも少なくありません。

東京高等裁判所平成27年(ラ)第608号面会交流審判に対する抗告事件同年6月12日決定は、調査官の調査報告書における、面会交流を控えなければならないような未成年者側の事情がない,との意見を抑えて、

将来の良好な父子関係を構築するためには、相手方の負担を増大させてまで直接交流を行うことは、かえって未成年者らの抗告人(父親)に対するイメージを悪化させる可能性がある、として、

複数の精神科医師の診断結果を、証拠として重視して、調査官調査報告書と異なった判断を示し、直接の面会交流を認めない決定を行いました。

父親のDV等により、母子が心的外傷後ストレス障害との複数の意思による診断を受けており、面会交流により心因反応が見込まれる場合には、未成年者の福祉に添わないものとして、

間接面会(父親からの手紙と母親からの写真)の限度で認めた、妥当な決定だと思慮されます。なお、原審の、東京家庭裁判所の審判も同様の判断を示していました。

 

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.08更新

一般的に、別居の事実は、破綻を推定させる一つの要素であり、必ずしも破綻の結果であるとも、破綻の原因であるとも認められません。本来、破綻の事実の認定は、夫婦間の諸事情により認定されるもので、別居自体により認定されることはあり得ません。

しかし、諸事情により破綻の事実が証明されない場合、別居の期間が破綻を証明する結果になることがあります。

本来、夫婦は両性の合意において成立するものですから(憲法の定め)、片方が嫌だと言えば、夫婦関係は成り立たないことになります。しかし、婚姻も契約の一種ですから、片方が勝手に嫌だというのを全て認めることは、安易な契約違反を認めることになります。

そこで、民法770条は、夫婦関係が破綻していることをもって、法的な離婚を認める条件となしています。ただ、かっては、民法770条の解釈を有責主義によるものと解釈され、相手の有責性を証明しなければ、離婚が認められないあるいは有責者からの離婚は認められないという解釈が採られていましたが、現在は、破綻していれば離婚を認め、例外として離婚を認めることが権利濫用に該当する場合にはこれを認めなかったり、附帯条件を厳しくすることになっています。

そこで、破綻自体の証明が困難である場合に、別居していれば、破綻している蓋然性が強いことに着目されて、別居期間何年以上であれば、破綻が認められると説明する専門家もいますが、別居は、あくまで破綻の一つの判断要素に過ぎないので、同居中でも、他の要素での破綻が証明されれば、離婚が認められますし、破綻の期間が長期に及んでも、権利濫用に該当する場合には、離婚が認められません。従って、原則として、別居期間の長短のみでは、判断基準とはなり得ません。

別居期間が、数カ月でも、片方の離婚の意思が固く、他方が関係修復の努力をすることなく相手を批判ばかりしている場合には、直ちに破綻の事実が認定されても仕方がありません。他方、長期別居でも、それが単身赴任や、定期的に交流があったり、経済的な保障関係が認められば、容易には破綻の事実は認められません。

東京高等裁判所平成27年(ネ)第1064号離婚等請求控訴事件同28年5月25日判決は、破綻原因の主張事実は証明されないし、別居期間3年5カ月は(同居期間10年)短い等として離婚請求を棄却した原審(東京家庭裁判所立川支部)を取り消して、別居期間が4年10カ月にわたった、離婚を認めていますが、同原審の判断には多いな疑問が認められます。破綻とは、夫婦関係の回復可能性が認められないということですから、片方の意思が固かったり、相手方の修復への努力が強く認められなかった等の修復実現可能性が具体的に認められない場合には、修復不可能と言うのが世間の常識だからです。

経験則的に見て、同居中に特に破綻原因が認められなかった夫婦でも、年単位を越せば、修復はあり得ないと考えられます。他方、別居後間もなく他の異性と男女関係にあることが認められた場合、破綻後の行為であるから離婚原因にならないという主張は認められないというか、その関係は、経験則的に見て、別居以前から存在したものと認めるのが、合理的と判断されると思慮します。別居後の男女関係は、破綻の原因ではないという古い先例がありますが、その事案は、養子に入ったが、理不尽に追い出され、10数年後に相手が見つかって一緒になったと言う具体的な事実認定がなされているものであり、現在においては、少なくとも年単位を経ないと、他の異性との男女関係が発覚した場合、破綻の原因ではないという主張が通るのは難しいのではないかと思慮します。

すなわち、多くの判決を見ていると、同居期間中の破綻が証明されなくても、片方の意思が固く、相手方の具体的な修復に向けての行為が認められなく、特別の事情が認められない場合には、別居が1年を超えると、破綻と認定される場合が多いと、判断されます。

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.08更新

従来の判例の流れについてオフィシャルHPもご覧ください。

◎慰謝料 http://www.takesue-law.com/rikon2.html

◎財産分与 http://www.takesue-law.com/rikon3.html

◎有責配偶者 http://www.takesue-law.com/rikon4.html

◎親権・監護権・戸籍 http://www.takesue-law.com/rikon5.html

◎養育費・婚姻費用・面会交流 http://www.takesue-law.com/rikon6.html

投稿者: 武末法律事務所

前へ 前へ
オフィシャルサイト離婚BLOG 24時間WEB予約受付中
TEL:092-714-4554 24時間WEB予約受付中