離婚BLOG

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2019.03.05更新

相場。 過去に取り扱った事例をもとに、説明します。

特に定まった基準などは有りません。過去の判決例を見ると、一般的には金300万円を上限として、情状により低減されているように見えます。

バブルの頃は、世間相場に対応して上限金500万円が相当とか言われたこともありますが、現在はまた元に戻ったように見えます。

しかし、事情によっては、慰謝料という性質上、より高額が認められることもあります。離婚原因だけでなく、双方の経済力が影響することが多いようです。
特に、片方のみに離婚原因の責任がなく、かつ見るべき共有資産もない場合には、収入源のある方(主に夫)から収入源のない方(主に妻)に一定額(金300万円程度)の給付をさせる場合があります(扶養的財産分与)。一般的に、夫は従来の仕事の継続により将来の収入が見込めますが、特に専業主婦であった女性、特に高齢であった場合等は将来の収入の見込みが立たないからです。

離婚の慰謝料は、不貞の慰謝料等とは別ですので、不貞の慰謝料を得ても、その後、離婚に至れば別に請求することが出来ます。但し不貞の相手方に対しては3年を経過すれば、原則できないという最高裁判決が、最近出ました。

有責配偶者の場合。
非有責配偶者が、有責配偶者を相手に、離婚を求める場合には、上記の基準と変わりは有りません。 

しかし、有責配偶者が、離婚を求める場合に、相手方が拒絶した場合には、無条件には離婚が認められません。例外的に、相応の給付を提供することで認められた例も有りますが、これは、有責性の度合いが薄く、子供たちも独立していてその養護に不安がなく、かつ相手方が不安なく十分に将来生活出来る程度の給付が提供された場合です。

最高裁判所が、有責配偶者でも、一定の要件を満たせば、離婚を認めるという判断を下して以来、有責配偶者からの離婚請求はそれまでのように絶対不可能とは言えなくなりました。儒教思想から解放されて人間性を重視する破綻主義を重んじるようになったからだと思慮されます。
しかし、一定の要件、すなわちより人間的な実質的な思想に従う要件として、子供の福祉、相手の将来の生活、一定の期間などが掲げられています。なかには一定の期間が過ぎれば離婚可能などと誤解している専門家もいますが、その場合にも相当の給付の提供が条件とされます。
また一定期間もその具体的な状況により長短があり、5年でも可という場合もあれば20年でも不可という場合も認められます。福岡高裁の場合、基準的な別居期間7年、子供が高校卒業するまで、相応の生活保障等の基準があるということです。

実績。 取扱った高額な事案(いずれも比較的古い事案ですが、当職は、特に離婚事件については全国から依頼を受けますので事案特定の対象地は特定の地方を指すものではありません)。
夫と妻共々地方都市の複数の病院を配下に置く医療法人の株主たる医師で、夫が看護婦さんとの間で子供を作り同居した事案で、離婚及び財産給付を協議により解決した事件で、慰謝料8000万円と財産分与等1億4千万円の現金合計金2億2千万円で協議和解した事案があります。
夫が地方都市の病院の2代目医師で、看護婦さんを自宅に入れて子供も作った有責配偶者である夫から離婚を求めた事案で、子ども二人を育て上げた専業主婦である妻からの依頼の事件で、居住していたマンションと現金給付合わせて約1億円で調停和解した事案があります。
夫が地方都市の企業の経営者で、それまで一人娘を大事にしていたが、外(ホステスさん)との間で男の子を不妊治療法で得た有責配偶者である夫から離婚を求めた事案で、自分も仕事を持っていた妻からの依頼の事件で、居住していた自宅と現金給付合わせて約1億円で調停和解した事案があります。
夫が地方都市の一般的サラリーマンで、独身の女性と同居した事案で、3人の子供を養育中の遠方の地方都市に居住し、離婚を拒絶しながら婚費を求めている妻を相手に、有責配偶者である夫からの依頼の事件で、相当期間(定年まで)の分割による約金3000万円で調停和解した事案があります。
夫婦共地方都市の教員で、夫が他の女性教員と同居した事案で、子育てを終わったが離婚を拒絶している教員の女性相手に、有責配偶者である夫からの依頼の事件で、退職金全額相当の約金3000万円で(他の女性の退職金は無傷)調停和解した事例があります。
夫が地方都市の自営業創設者で、長期別居の間に会社の女性と交際をなしたうえ離婚を求められた、3人の子供を養育中の妻からの依頼で、現金4000万円と10年間自宅無償使用、子供一人の大学卒業までの養育費各子月17万円等の条件で、協議離婚した事案があります。
夫が勤務医師(親は開業医)で、単身赴任先の薬剤師と同居して、離婚を求めた事案で、妻からの依頼により、分割払いによる金3000万円で調停和解した事案があります(子供なし)。

当職の基本方針。
まず、いずれの立場にたっても、相手方の立場、心情を理解して、交渉に入ります。特に、女心が分からない、真面目すぎる、片方の利益しか考えられない専門家は事をこじらすことが多くなります。
次に、人生観として、前向きに処理することを第一に考えます。そのうえで経済的補償を考慮します。端的に言えば、相手が有責者である場合に、手に職があり将来に選択肢が多い依頼者の場合には、経済的給付の条件にとらわれずに早急な離婚を勧めます。しかし、手に職がなく、子供の教育や将来の生活に不安を感じたり、特に将来を急がない場合などは、相手の経済力に沿った最大限ないし納得出来る相応の財産給付を得るように勧めます。
この段階で、相手方と条件交渉に入りますが、その前に離婚を諦めて婚姻費用を支払い続ける相手方や依頼者もいます。また、当方が有責配偶者である場合には、可能な限り最大限の財産給付を検討して相手に提案することを勧めます。
いずれの立場であっても、当職が相手の立場に立って提案し、相手が冷静に考えれば、相手もいわば最悪な現状から抜け出して、相応の資金を元に再出発することが人生として有意義であるという共通の認識を持つことが出来るからです。


番外編・愛人のケース
30年ほど前のバブルの頃、ある遊戯場会社の社長の愛人を7カ月して、相手と別れたいから、慰謝料を取りたいとの依頼を受けました。彼女は自称元モデル、スチュワーデスで、美貌を保つために相当投資をしているとのことで、彼氏からの一か月の手当は金50万円、別れる原因は、当初子供も欲しい養育も負担すると約束していたのに、妊娠したとたんに降ろせと言われたこと、ということでした。
通常、愛人関係の清算に金員の要求は出来ません(支払った金員の返還請求も出来ません)。しかし、諸事情が存在し、最終的に、金6,000万円の慰謝料で和解が成立しました。

以上オフィシャルHPから引用

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.26更新

監護者の指定や面会交流等の子に関する調停における、両親の争いにおいて、裁判所は、調査官調査を行い、判断の資料に使うことが通常です。

最近の調査官は、教育も受けていて優秀なので、概ね、その調査結果に信頼が持てるといえ、その結果、審判や決定は、調査官調査の結果を重視した内容で為されることが多いものです。

ただ、たまに、客観性を欠いたり、片方の主張に影響を受けたかのような、また先例の勉強不足や社会経験則に欠けると思慮される案件に出会うことも否定できません。

当職も、過去に、数件、おかしいなと思われる調査報告書に出会ったことがあり、これを鵜呑みにした審判に対しては、即時抗告で、是正してもらったことも少なくありません。

東京高等裁判所平成27年(ラ)第608号面会交流審判に対する抗告事件同年6月12日決定は、調査官の調査報告書における、面会交流を控えなければならないような未成年者側の事情がない,との意見を抑えて、

将来の良好な父子関係を構築するためには、相手方の負担を増大させてまで直接交流を行うことは、かえって未成年者らの抗告人(父親)に対するイメージを悪化させる可能性がある、として、

複数の精神科医師の診断結果を、証拠として重視して、調査官調査報告書と異なった判断を示し、直接の面会交流を認めない決定を行いました。

父親のDV等により、母子が心的外傷後ストレス障害との複数の意思による診断を受けており、面会交流により心因反応が見込まれる場合には、未成年者の福祉に添わないものとして、

間接面会(父親からの手紙と母親からの写真)の限度で認めた、妥当な決定だと思慮されます。なお、原審の、東京家庭裁判所の審判も同様の判断を示していました。

 

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.08更新

一般的に、別居の事実は、破綻を推定させる一つの要素であり、必ずしも破綻の結果であるとも、破綻の原因であるとも認められません。本来、破綻の事実の認定は、夫婦間の諸事情により認定されるもので、別居自体により認定されることはあり得ません。

しかし、諸事情により破綻の事実が証明されない場合、別居の期間が破綻を証明する結果になることがあります。

本来、夫婦は両性の合意において成立するものですから(憲法の定め)、片方が嫌だと言えば、夫婦関係は成り立たないことになります。しかし、婚姻も契約の一種ですから、片方が勝手に嫌だというのを全て認めることは、安易な契約違反を認めることになります。

そこで、民法770条は、夫婦関係が破綻していることをもって、法的な離婚を認める条件となしています。ただ、かっては、民法770条の解釈を有責主義によるものと解釈され、相手の有責性を証明しなければ、離婚が認められないあるいは有責者からの離婚は認められないという解釈が採られていましたが、現在は、破綻していれば離婚を認め、例外として離婚を認めることが権利濫用に該当する場合にはこれを認めなかったり、附帯条件を厳しくすることになっています。

そこで、破綻自体の証明が困難である場合に、別居していれば、破綻している蓋然性が強いことに着目されて、別居期間何年以上であれば、破綻が認められると説明する専門家もいますが、別居は、あくまで破綻の一つの判断要素に過ぎないので、同居中でも、他の要素での破綻が証明されれば、離婚が認められますし、破綻の期間が長期に及んでも、権利濫用に該当する場合には、離婚が認められません。従って、原則として、別居期間の長短のみでは、判断基準とはなり得ません。

別居期間が、数カ月でも、片方の離婚の意思が固く、他方が関係修復の努力をすることなく相手を批判ばかりしている場合には、直ちに破綻の事実が認定されても仕方がありません。他方、長期別居でも、それが単身赴任や、定期的に交流があったり、経済的な保障関係が認められば、容易には破綻の事実は認められません。

東京高等裁判所平成27年(ネ)第1064号離婚等請求控訴事件同28年5月25日判決は、破綻原因の主張事実は証明されないし、別居期間3年5カ月は(同居期間10年)短い等として離婚請求を棄却した原審(東京家庭裁判所立川支部)を取り消して、別居期間が4年10カ月にわたった、離婚を認めていますが、同原審の判断には多いな疑問が認められます。破綻とは、夫婦関係の回復可能性が認められないということですから、片方の意思が固かったり、相手方の修復への努力が強く認められなかった等の修復実現可能性が具体的に認められない場合には、修復不可能と言うのが世間の常識だからです。

経験則的に見て、同居中に特に破綻原因が認められなかった夫婦でも、年単位を越せば、修復はあり得ないと考えられます。他方、別居後間もなく他の異性と男女関係にあることが認められた場合、破綻後の行為であるから離婚原因にならないという主張は認められないというか、その関係は、経験則的に見て、別居以前から存在したものと認めるのが、合理的と判断されると思慮します。別居後の男女関係は、破綻の原因ではないという古い先例がありますが、その事案は、養子に入ったが、理不尽に追い出され、10数年後に相手が見つかって一緒になったと言う具体的な事実認定がなされているものであり、現在においては、少なくとも年単位を経ないと、他の異性との男女関係が発覚した場合、破綻の原因ではないという主張が通るのは難しいのではないかと思慮します。

すなわち、多くの判決を見ていると、同居期間中の破綻が証明されなくても、片方の意思が固く、相手方の具体的な修復に向けての行為が認められなく、特別の事情が認められない場合には、別居が1年を超えると、破綻と認定される場合が多いと、判断されます。

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.08更新

従来の判例の流れについてオフィシャルHPもご覧ください。

◎慰謝料 http://www.takesue-law.com/rikon2.html

◎財産分与 http://www.takesue-law.com/rikon3.html

◎有責配偶者 http://www.takesue-law.com/rikon4.html

◎親権・監護権・戸籍 http://www.takesue-law.com/rikon5.html

◎養育費・婚姻費用・面会交流 http://www.takesue-law.com/rikon6.html

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.04更新

最高裁判所第1小法廷平成24年(許)第48号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同25年3月28日決定で、給付の特定に欠けることがない場合に間接強制決定ができる旨示したことは、既にご紹介しました。さらに、同事案は子供が拒絶する意思を示した事案でしたが、判示は、審判がある以上、これの間接強制を妨げる理由にはならないとしました。その理由として、子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえたうえでされていることを掲げています。すなわち、調査官調査等によって試行面会や子の身上調査が為されていることの結果である点を重視して、当面の子の意思を真意なものとはとらえられない危惧を解消しています。しかし、子の意思の変化が、審判時とは異なる状況が生じたと言える時は、面会交流を禁止したり新たな条項を定める為の調停や審判申立る理由となりうることに言及して、その解決方法を説示しています。

大阪家庭裁判所平成27年(家ロ)第50122号間接強制申立事件同28年2月1日決定は、未成年者が拒絶した事案で、債務者が未成年者に対して適切な指導助言することに依り、未成年者の福祉を害することなく義務を履行することが可能であるとして、間接強制を認めていますが、これは審判時における試行面会で債権者と子供が楽しそうに問題なく面会を行っていた等の実績を掲げています。

他方、東京家庭裁判所平成23年(ラ)第152号間接強制決定に対する執行抗告事件同23年3月23日決定は、子が債務者の説得にもかかわらず権利者の元に行く事を拒んだ事案で、義務者の義務は、権利者による子の引き渡しを妨害しないという不作為義務であるところ、義務者が子の引き渡しを妨害しているとも、その恐れがあるとも言えず、その立証も為されていないことを理由に、間接強制申立を却下しています。

従って、面会交流や引き渡しの調停や審判手続きにおいて、子が拒絶の意思を有している場合は(通常10歳前後以上はその意思が重視されます)、調査官調査により調査報告により確認された段階で、面会交流や子の引渡を認めない判断が為されて、従って執行の問題も起きないことになりますが、仮に審判が為されたとしても、義務者が、これを妨げる可能性が立証されない限り、間接強制は不可能ということになります。

権利者、義務者や裁判所が、子の意思を無視した義務を義務者に強いることは、仮にその内心が義務者に対する気遣いであったとしても、そ自由意思を抑圧し、子の福祉に添わないことになるからだと思慮されるところです。

 

投稿者: 武末法律事務所

2018.12.01更新

大阪高等裁判所平成27年(ラ)第241号子の監護に関する処分(養育費)審判に対する抗告事件同27年4月22日決定は、私立大学に進学した子供の養育費について、公立大学の学費相当部分について、3分の1を非監護親が負担すべきとの判断を示しました。

これは、諸般の事情を考慮してという事例決定(普遍的な基準とはならないもの)ですが、養育費の審判において、学費の負担について多く争点になるところなので、考慮された諸般の事情は、参考になります。

同事件は、大學に進学している長女については、高校を選ぶ時点で、国立大学を目指しており、両親の共通の認識であったこと、夫婦の収入のみでは学費等全てを補うことは困難である事情があったこと、すなわち子が奨学金を受けあるいはアルバイトをすることが前提認識であったこと等の事情を認定し、22歳まで養育費を支払う義務を認め、負担割合について、両親及び子が各3分の1づつ負担すべきとして、国立大学の学費標準額及び通学費から、標準的算定方式においてあらかじめ考慮されている公立高校を前提とする標準的学習費用を控除した額に、非監護者が負担する割合を乗じて算定した額の限度で(原審の定めた額を減額して)認めたものです(夫婦には次女がいますが、事情を異にするので省きます)。

なお、東京家庭裁判所平成27年(家)第2612号婚姻費用分担申立事件同27年8月13日審判は、大学生の子が、奨学金で学費の9割以上を賄えている場合は、算定表によることが出来ない特別の事情として考慮するのは相当でない、という判断を示しています。

投稿者: 武末法律事務所

2018.11.19更新

東京家庭裁判所平成27年(家)第2612号婚姻費用分担申立事件同27年8月13日審判は、申立人が居住する住宅のローンを、相手方が支払っている場合は、算定表から計算した金額から一定額を差し引いて定めるとの判断を下しました。

裁判所は、養育費や婚姻費用を定めるにあたって、算定表を用いますが、双方の総収入そのものではなく、生活費に充てられない職業費や生活に欠かせない特別経費について、それぞれの収入に応じた平均値を考慮して、生活費に充てるべき収入を基礎収入と定めて、家族数に応じた負担割合を計算して、算定します。

従来は、住宅ローンの支払いは、相手方の資産形成になるから、婚姻費用や養育費を定めるにあたって、考慮しないという考え方がありましたが、算定表の計算の基となる基礎収入の算定において、特別経費として、収入に応じた住居関係費が考慮されていますから、申立人が家賃等の負担を為していない場合には、相手方が二重の負担を為していることになるから、一定額を差し引くべきであるということになります。その一定額は、諸般の事情を考慮して為されることになりますが、収入に応じた平均値がその基準となると思慮します。…

同旨の先例として・東京家庭裁判所平成26年(家)第10127号婚姻費用分担申立事件同27年6月17日審判・東京家庭裁判所平成22年(家)第8915号婚姻費用分担申立事件同22年11月24日審判等があります。

 

投稿者: 武末法律事務所

2018.11.19更新

平成26年(家)第1123号婚姻費用分担(増額)申立事件同27年2月27日審判は、各総収入の中に、多額の交通費が含まれている場合、その一定額を総収入から差し引くべしという判断を示しました。

裁判所は、養育費や婚姻費用を定めるにあたって、算定表を用いますが、双方の総収入そのものではなく、生活費に充てられない職業費や生活に欠かせない特別経費について、それぞれの収入に応じた平均値を考慮して、生活費に充てるべき収入を基礎収入と定めて、家族数に応じた負担割合を計算して、算定します。

従って、仮に総収入の中に特別高額な交通費が含まれていたら、その金額と収入に応じた平均値(既に考慮されている)との差額部分は生活費に宛てられない職業費として、総収入から控除しいて、基礎収入を計算すべきこととなるということです。

算定表の適用に当たって、注意すべき点の一つと考えられます。

 

投稿者: 武末法律事務所

2018.08.31更新

最高裁判所第1小法廷平成24年受第1402号平成26年7月17日判決は、嫡出子の推定を受ける親子関係(母親が婚姻御200日以後婚姻解消後300日以内に出生)の場合、実体(遺伝子的)が存在しないとして親子関係を争うには1年以内に嫡出子否認の訴えの手続きによらなければならず、以後は、客観的に親子関係がないと科学的証明がなされたとしても、親子関係不存在確認の訴えでもって、争うことが出来ないとし、遺伝子的な実体がなくても戸籍上の地位が法的に守られることを認めました。

他方で、従来の最高裁判所は、親子関係の実体がないが戸籍上嫡出子とされている場合(親族間の子を嫡出子として届け出ている場合等)、戸籍の記載は実体に合わなければ法的安定性に欠けるという理由で、子供には相続権がないとかたくなに(地裁、高裁が再度認める判決を出しても)覆し続けていたところ、最高裁判所第2小法廷平成17年受第1708号平成18年7月7日判決は、親子関係の構築が認められれば、その親子関係不存在確認請求を求めることは権利濫用に当たるとして、実体(遺伝子的)が無くても、相続権が保護されるという結果を容認しました。

これらの最高裁判所の判決から見ると、かっては、実体にそわない戸籍上の地位は、法的安定性の目的から、絶対的に保護されないという立場であったところ、近時は、戸籍上の親子関係が実態として構築されている事実があれば、事情によるが、保護すべきという立場で統一されたように思われます。市民感覚から見れば、非常に理解できることになったと思います。

 

投稿者: 武末法律事務所

2017.10.13更新

婚姻費用分担請求事件において、請求者に破綻原因としての不貞行為が認定される場合、相手方は、子供の養育費相当分に限って負担義務が認められ、請求者分の費用は負担する必要がない、というのが一般的な先例です(大阪高裁平成28.3.17決定は、原審の不貞行為とは認められないとの判断による審判を変更して、同旨の決定を下しています)。

なお、その根拠は信義則ないし権利濫用ですから、具体的な事情によって、請求者分の費用分担を認めている先例もあります(札幌高裁昭和50.6.30)。

これに対し、一度、婚姻費用の分担額が調停において定められた後で、相手方が、不貞の相手方との間に子が出来たとして、事情変更による婚姻費用の分担額の変更(減額)を申立てた事件で、原審(名古屋家裁)は、これを認めると不貞行為の助長・追認となるとの理由で申立を却下しましたが、抗告審(名古屋高裁)は、不貞の相手方との間の子の扶養を重視して、原則通り、婚費分担額の減額を認めました。夫婦間の倫理に基づく権利濫用は不貞の子であってもその福祉は保護されるべきという意味で高裁判断は妥当であると思慮されます。

投稿者: 武末法律事務所

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