離婚BLOG

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2019.05.23更新

婚姻費用

夫婦の間には、相互に扶助義務があります。その形は、経済的扶助や生活補助的扶助など様々な要素があります。

 
仮に、夫婦が別居した場合、収入の多い方が少ない方に経済的扶助をする義務が生じます。子供を引き取った側にはその負担も考慮され、他方側においては生活補助的扶助が履行されない分減額されることになりますが、これらの紛争を速やかに解決するために、過去の統計をもとにした、子供の数と夫婦の経済的収入のみを基準とした算定基準によって、決められるようになっています。よほどの特別の事情が認められない限り、これを外れて決定されることはありません。なお、権利者が不貞行為による有責配偶者である場合、配偶者の生活費相当分は除外され子供の養育費部分に限定されるという判例が出て以来、これに従う例が増えています。

婚姻が終了すれば義務は生じません。養育費に変わります。

支払い義務の発生時期は、実務上、申立後というのが、多くの取り扱いですが(現在の福岡家庭裁判所の取り扱い、例外として、内容証明郵便で請求したことを証明したときはその時から、但しメールによる請求は認めていません)、大審院判例(大判明34.10.3・同37.7.18・同昭13.6.30)は請求時まで遡ってできるとされていたものであり、最高裁判所も、家庭裁判所が婚姻費用の分担額を決定するに当たり、過去に遡って、その額を形成決定することが許されない理由はない、としたものもあります(最高裁判所大法廷昭和37年(ク)第243号事件昭昭和40年6月30日判決)。
その支払い義務発生の具体的時期については、要扶養時から認められるという学説もありますが、実務上は、家裁の審判でも、要扶養時以後、請求時以後そして調停審判申立以後しか認めないもの等に分かれていました。
時効について、扶養債権を、定期給付債権として、請求可能な時から時効にかかるという考えもあり、5年以内という限定も考えられます(援用を条件とする)。

養育費

夫婦が離婚し、子供がいる場合に、子供を引き取った方に相手方が支払う義務を負うものですが、子供の権利であって、親の権利ではないので、親どうしで権利放棄しても、効力が認められません。
この金額の算出も、婚姻費用と同じような算定基準によって決められます。婚姻費用における夫婦間の扶助義務を免れる分、比較的安くなります。

状況の変化により、その増減を、家庭裁判所に申し立てることが出来ます。ただ、1、2年のような短いスパンでは、よほどのことがない限り、認められることが無いようですし、合理的理由がないのに、収入減の職場に変わった場合などは、この減額分を評価しないという先例もあります。

支払い義務の発生時期は、別居後からというのが、最高裁判所の判例です(最高裁判所第1小法廷平成7年(オ)第1933号離婚等請求事件平成9年4月10日判決)。これについても、時効の問題が議論されるところです。注意すべきは、判決や調停調書で決められていれば、消滅時効は10年ですが、協議書や公正証書で定めた場合ほ、消滅時効は5年です。

面会交流

夫婦が離婚し、子供の親権者が決められても、相手方には、子供と面会する権利があります。親の権利というより、子の福祉の為です。従って、DV歴等の子供の福祉に反するような状況があれば、認められないこともあります。また、子供が一定の年齢以上の場合、その意思が尊重されます。

裁判所で具体的な条件を定めた面会交流権が認められた場合、合理的な理由がなく、これを拒否した場合、間接強制により、その権利が確保されます。但し、条件が具体的に定められていない場合には、間接強制も認められません(最高裁判所第1小法廷平成25年(許)第48号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件平成25年3月28日決定)。しかし、最近は直接強制を認める例も増えており、直接強制の手続きを定める法改正の動きもあります。もっとも、各強制は夫婦(ないし夫婦であったもの)の間の問題であり、一定の年齢以上の子供の場合には、親の意思や行動に関わらず、子供の意思が最優先されるので、親に対する強制の問題は起きません(最高裁判所第3小法廷平成30年(許)第13号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同31年4月26日決定)。

以上オフィシャルHPから引用

投稿者: 武末法律事務所

2019.05.10更新

2018.12.04に、面会交流や子の引渡審判に基づく強制と子の意思と題して、裁判所の傾向をご紹介いたしましたが、適用例の一つと認められる最高裁判所決定が出されました。

最高裁判所第3小法廷平成30年(許)第13号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同31年4月26日決定は、妻の申立による家裁の引渡命令により家裁執行官が夫宅に出向いたが(直接強制)、9歳の長男は激しくこれに抵抗し引渡ができなかったため、妻が夫に制裁金(間接強制)を求めていた事案で、原決定を破棄し原々決定を取消して、同申立を却下しました。

最高裁判所第1小法廷平成24年(許)第48号間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件同25年3月28日決定は、給付の特定に欠けることがない場合、子供が拒絶する意思を示しても、審判がある以上、これの間接強制を妨げる理由にはならないとしています。その理由として、子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえたうえでされていることを掲げています。すなわち調査官調査等によって試行面会や子の身上調査が為されて子の福祉の判断がなされていることの結果である点を重視して、当面の子の意思を真意なものとはとらえられないと判断しています。

今回の最高裁判所決定は、東京家庭裁判所平成23年(ラ)第152号間接強制決定に対する執行抗告事件同23年3月23日決定が、子が債務者の説得にもかかわらず権利者の元に行く事を拒んだ事案で、義務者の義務は、権利者による子の引き渡しを妨害しないという不作為義務であるところ、義務者が子の引き渡しを妨害しているとも、その恐れがあるとも言えないとした、発想と同趣旨と認められます。

すなわち、小学校高学年程度の相当の年齢に達した子と親の引渡や面会は、引渡を求める親と子の関係であって、親同士の関係ではないので、子が引き渡しを拒んでいるのは、引き渡しを求められる親の意向によるものではないので、この親を間接強制によって心理的に圧迫することは、逆に子の福祉を損なうという発想です。経験上、妥当な発想だと思います。

結果として、過去の調査官による調査報告やこれに基づく裁判官による審判よりも、直近の家裁執行官の事実判断報告が、重要な機能役割を果たすことになります。従って、家裁執行官にはしっかりとした事実観察や判断能力が求められることになります。

 

投稿者: 武末法律事務所

2019.05.07更新

離婚に伴う親権の分離

夫婦である間は、共同親権者として、双方に帰属しますが、離婚するにあたり、いずれかが子供を監護することになり、子の監護権と親権は同一の親が持たないと不便なことが多いので、片方の親に飲み帰属することになります。

最近は、子供の親権を、双方の親が切望します。昔に比べて男性の要求が強くなりました。
 
親権決定
 
基準は、子の福祉です。親の都合ではありません。

子供が小さいうちは、よほどの問題がない限り、母親と認められます。仮に離婚原因が母親の不貞行為であっても同じです。要は子供にとって幸せかどうかという基準です。例外的なケースとして、母親が子供にDVを行っていた場合、薬物常習者であった場合、強度の精神病で入退院を繰り返していた場合がありました。この基準は、面会交流の可否においても基準となります。

両親が既に別居している場合には、よほどの問題がない限る、現実に同居している親に認められます。但し、別居時に、父親が一方的に子供を連れて行った場合には、母親が速やかに、子の監護者の指定、引き渡しの調停申し立てを起こせば、概ね審判で子供を戻すように決めてもらうことができます。最近、母親が留守の間に、父親が子供を連れて引っ越したという、二つのケースがありましたが、一つは子供が自ら母親のもとへ逃げ帰った小学生のケース、一つは子供の意思が確認されて戻らなかった中学生のケースがあります。この場合、昔は、人身保護法に基づく手続きが取られることが多かったようですが、監護者の調停指定引渡審判の方法が容易で速やかに進められます。但し、仮の処分申立によっては、認められません。
  
小学生高学年以上は、子供の意思が尊重されますが、客観的な意思を確認する為に、調査官の調査手が行われることが多くあります。

子供が、複数いるときは、合意であれば別々に親権を定めることができますが、子供にとって望ましいことではないので、審判や判決では、親権を分けることはまず認められることはありません。

母親が親権者となった場合、当然には子供は母親の戸籍には入りません。子の戸籍を変え氏を母親と同じにするためには、子の氏を変更する申し立てを家庭裁判所にしなければなりません。この手続きは容易に認められます。

投稿者: 武末法律事務所

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