最高裁判所第1小法廷令和元年(許)第16号財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件令和2年8月6日決定において、明渡を命じることが出来るとの判断が示されました。
原原審の家裁と同じ結論ですが、原審の東京高等裁判所が、建物の明渡は、財産分与では出来ず、別途訴訟で為すべきであるとしたことに対し、法令違背の違法があるとしました。
根拠法条は、家事事件手続法154条2項4号ですが、原審においては、同法条の適用等の判断自体が示されていません。当職の経験では、たまに、高等裁判所は、家事事件の法令や先例を理解していないと思慮される場面に出くわします。
本件は、財産分与審判に関するものですが、離婚訴訟付帯処分においても人訴法32条2項に同様の規定がありますから、同じ解釈でよいと解されます。
平成23年に、民法を含む人事関係法規の改正が行われました。家事事件は、弁論主義の支配下になく、職権主義の支配下とはいえ、弁護士にも法令の解釈を促す責任があるというところです。