判例から見る婚姻費用における私立学校学費の分担割合の検討

収入に応じた按分割合か折半か。

標準的算定方式では、公立学校の学校教育費を前提とし、これと私立学校の学校教育費との差額分について負担が問題とされてきました。

別居前に、私立学校へ入学することに同意ないしそれを前提とした教育を為していれば、その差額分を負担する義務が生じます。

また、中高一貫私立中学校に、入学すれば、特別のことがない限り、私立高校に入学しますから、その教育費の負担も免れないことになります。

その私立学校教育費と公立学校の差額についての負担割合は、福岡家庭裁判所においては、双方の収入に応じた按分割合によるとされており、他の家庭裁判所においてもそうです。

しかし、大阪高等裁判所平成26年(ラ)第595号同26年8月27日決定で、負担割合は折半とする判断が為されました。

一見不合理に様にも見えますが、算定方式による婚費の分担により双方の生活原資が同額となり生活水準が同じになるという前提ですので、超過学費は折半すべしということで、理にかなっています。

但し、これは、夫婦とも高収入の事案であり、節約の利く範囲が大きい場合には妥当するが、片方が低収入で節約が利く範囲が少ない場合には、収入按分比による方が合理的であるとの意見もあります。

従来、調停和解などにおいては、私立学校費用は折半とする例も少なくありませんでしたが、審判となると按分割合とされてきました。事案の内容ごとに、今後の流れを見守りたいところです。